Corundum研磨剤としての用途と結晶構造の秘密！

この世には、金属よりもはるかに硬い物質が存在します。その一つが、今回は紹介する「コランダム」です。宝石の世界ではサファイアやルビーとして知られ、その美しい色合いから多くの人を魅了していますが、工業的には優れた研磨剤として幅広い分野で活躍しています。

コランダムは酸化アルミニウム(Al₂O₃)という化学式を持つ鉱物で、その硬度はモース硬度で9と、ダイヤモンドに次いで世界第二位の高硬度を誇ります。この驚異的な硬さは、コランダムの結晶構造に由来しています。コランダムは六方晶系の結晶構造を持ち、アルミニウムイオンと酸素イオンが強く結合して、非常に安定した構造を形成しています。

この強靭な構造と高い硬度から、コランダムは様々な分野で研磨剤として使用されます。

• 精密機械部品の研磨: 時計やカメラなどの精密機器の部品は、微細な精度を必要とします。コランダムの研磨粉を用いることで、これらの部品を高精度に仕上げることが可能になります。

• 半導体製造におけるウェハー研磨: 半導体の製造工程において、シリコンウェハーの表面を平滑にするためにコランダムが使用されます。この研磨工程は、半導体の性能に直接影響するため、非常に重要なプロセスです。

• ガラス・陶磁器の研磨: ガラス製品や陶磁器の表面を美しく仕上げるためにも、コランダムの研磨剤が用いられます。特に、高級ガラス製品や芸術性の高い陶磁器の製造においては、コランダムによる緻密な研磨が不可欠です。

コランダムの生産方法は大きく分けて２つあります。

• 天然鉱石からの採取: サファイアやルビーとして有名な宝石品質のコランダムは、主に露天掘りの方法で採掘されます。しかし、工業用のコランダムとして使用されるものは、宝石品質ほど高価ではなく、一般的には露天掘りや地下採掘によって得られます。

• 人工合成による製造: 近年では、天然鉱石の採取よりも効率的かつ安定的に供給できるため、人工合成のコランダムが主流となっています。高温・高圧下で酸化アルミニウムを結晶化させることで、高純度のコランダムを製造することができます。

コランダムの種類	特徴	用途
天然コランダム	硬度が高く、宝石品質のものもある	研磨剤、装飾品
人工合成コランダム	高純度で安定供給が可能	工業用研磨剤

人工合成のコランダムは、粒度や形状を制御できるため、用途に合わせて最適な研磨剤を選択することができます。例えば、精密機械部品の研磨には微細な粒子を用いる一方、ガラスや陶磁器の研磨には coarser な粒子を使用します。

コランダムは、その高い硬度と優れた研磨性能から、様々な産業で重要な役割を果たしています。今後も、技術革新によって、コランダムの応用範囲はさらに広がっていくことが期待されます。

面白い事実: コランダムは、宇宙探査にも利用されています。火星探査車「キュリオシティ」には、コランダム製のドリルが搭載されており、火星の地表を分析する際に使用されました。これは、コランダムの硬度と耐久性が、過酷な環境下でも優れた性能を発揮できることを示しています。